※パラレル設定を使用して居ます。
(中日夫婦設定、韓子供設定)
※日丸屋秀作様さんが書かれた人名を使用して居ります。
※女体化設定有りです
※女体化日本の名前を捏造して居ります(本田桜)
※死亡を連想させる表現が御座います。
以上の事柄に耐性のある方のみ、スクロール願います。
ある所に一人の男が居ました。
ある所に一人の女が居ました。
裁きの日
男の名前を「王 耀」と言いました。男は海の向こうの大陸から島へとやってくる、やり手の商人でした。
女の名前を「本田 桜」と言いました。女は島に住む大金持ちの娘でした。
男は商いをする際に、大陸の珍しいものが好きな金持ちの下へと通うのが、此方で商いをする際の習慣でした。
女は大金持ちの娘の為、許婚も決まって居り、悪い虫が付かない為、と言う名目の元で極端に制限されていました。
女はいつも退屈でした、女はいつも窮屈でした。
父はある日、そんな娘を憐れに思ったのか、其の商人に貰った珍しいものを彼女に見せました。
彼女は大層喜び、父親の前で初めて笑顔を見せました。
父は其れに気を良くし、どんどんと其の商人に貰った大陸のものを彼女に見せました。
ある日女は、父に尋ねました。
「父上、この珍しいものは、誰が持ってきて下さるのでしょうか?」
父は娘を閉じ込める建前である「悪い虫が付かない事」を忘れ、商人を娘に紹介しました。
男は其の娘を一目見、恋焦がれるようになりました。
娘は其の男を一目見、恋焦がれるようになりました。
その後男は大陸に戻り、いつも其の女の事を考えるようになりました。
その後女は家の自室に籠り、いつも其の男の事を考えるようになりました。
それから二回程男が島に商いをしに、大金持ちの下にやってきて、女と会った日の事です。
女は言いました。
「このまま私を連れて逃げてください。」
男は理由を問いました。
女はまた言いました。
「このままでは私、好きでもない許婚と結婚させられてしまいます。」
男は其の訳を聞いて血相を変え、そのまま一目も憚らず、女を連れて其の島から逃げ出しました。
船に乗り込み、海に出てもまだ追って来る人々に怯える女の肩を抱き、男は言いました。
「安心するよろし、我がお前を守ってやるある。」
「絶対に。」
***
それから幾月も年が経ちました。
男と女は一緒に、大陸の奥地の山のふもとで、貧しいながらも幸せに暮らしていました。
二人の間には一人の男の子が産まれました。二人は其の子供に、「任 勇洙」と名付けました。
しかし幸せは、そう長くは続きませんでした。
ある夜、女の住んでいた島の人々が、山のふもとのこの家にまで押し寄せてきたのです。
男は女と子供に、山中の廃寺の中で待つように指示した後、裏口から逃がす時にこう付け加えました。
「もし夜が明けても我が戻らなかったら、そのまま山を越えて向こうの村に逃げるあるよ。」
女は怯えながらも浅く頷き、まだ二歳にもならない小さな子を抱いて、必死で逃げました。
ふもとから大分離れた其のかつて寺であった場所で、女は男を待ちました。
朝日が昇っても、日が沈んでも、もう一度朝日が昇って、沈んで。もう一度朝日が登って……
ずっとずっと、其処にたたずんで待ち続けました。
幼子を強く抱き締めたまま、ずっとずっと、待ちました。
***
半月ほど経ったある日の事でしょうか。
男を待ち続けていた女は、ようやく立ち上がり、山の向こうの村へと歩き始めました。
女は腕の中の幼子を見て、この子が大きくなれば、あの男の代わりになるのだろう。と思いました。
幼子の目は、あの男に悲しいほど良く似ていたからです。
女は途中、山の中で道に迷い、本来右に行くべき道を左に進みました。
腕の中で珍しく大人しくしている幼子を抱き、不意に思いました。
この子はこんなに、軽かっただろうか。
不意に立ち止まり、腕の中の幼子をしげしげと眺めてみました。
幼子は何も言わず、腕の中に納まっていました。
動かないその姿は、嘗て男が持ってきた赤ん坊の人形に良く似ていました。
女は山向こうの村へと、また歩を進め始めました。
途中で道順を間違えた事にも気付かず。
其の道の向こうには、崖がある事にも気付かず。
女はただ、歩を進め続けました。
(家族の下へと)
(逝く為に)
※ブラウザバックでお戻り下さい。